芝咲胡桃のポエム
27 Aug 2026
関係リセットの性分
綺麗に整えられた庭の端で
私はいつも、見えないはさみを取り出す
芽吹いたばかりの緑も
深く根を張った枝葉さえも
ある日突然、愛おしさが怖さに変わる
「ここまでにしておこう」
心の中で小さなスイッチがカチリと鳴る
連絡先を消し、思い出を畳み
すべてが初めからなかったかのように
私は自分の足で、安全な孤島へと還っていく
誰かに深く傷つけられたわけじゃない
嫌いになったわけでも、決してない
ただ、温もりを知れば知るほど
いつか訪れる終わりの影に怯えて
自らその手を離してしまうのだ
綺麗事の絆より
孤独という名の静寂が、なぜか心地よくて
足跡をきれいにかき消しながら
また一人、新しいスタートラインに立つ
またいつか、同じ過ちを繰り返すだろう
それでもこの手は、愛を知るたびに
決まってすべてをリセットしてしまう
それが、私の不器用で愛おしい性分なのだから
27 Aug 2026
愛しくないテリー
名前を呼ぶたび
声の裏側で砂利が擦れるような
そんな響きをまとった存在
どこにでもいそうで
どこにもいない
ただの記号のようでありながら
妙に生活の影に居座る男
愛されようともせず
愛そうともしないまま
ただそこに輪郭だけを残して
ソファの染みのように乾いていく
なぜお前を思い出してしまうのか
愛しくもないのに
夕暮れの冷たい風が吹くたび
テリー、と
つぶやいてしまう自分がいる
あたたかな熱もなく
胸を焦がす痛みもなく
ただ、そこにあるだけの空白を
埋めるための名前として
愛しくないテリー
今日も今日とて
救いもなく、救われる必要もなく
世界の一部として、ただそこにいる

